バーナードの組織論とは|事例と共にシンプルに知る

バーナードの組織論とは|事例と共にシンプルに知る

集団と組織の違いとは何か。昨今ではチーミングという言葉がHR業界にも知れ渡るようになりましたが、チームは自然成立しないものであるように、組織もまた自然成立するものではありません。業況変化に柔軟に対応できる、個々人の力以上のものを発揮できる、そのような組織になるために重要な要素をチェスターバーナードが提唱しています。

バーナードの組織論をシンプルにまとめると?

概要

・業務とは別観点の人的リーダーシップの概念で組織を考察
・「組織とは意識的に調整された人間の活動や諸力の体系」である
・組織目的・協働意欲・情報共有3要素を切り口に、組織の健全性を見る
・これらは自然発生するものではなく、意図して向上させる必要がある
・前提として、人間を「自由な意思を持って自由に行動する存在」とみなす

活用例

・50名、100名など組織の壁を超えようとする組織における幹部育成
・組織全体への、組織づくりの受身から主体者への変化づくり
・業務は優れているが、人望のない人材の育成
・人事部における、組織業態のサーベイ
・退職率改善

理論・用語をシンプルに教えて

基本要素

・共通の目的をもっていること(組織目的)
・お互いに協力する意思をもっていること(協働意欲)
・円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)

この理論が発表されたのは1938年。人間を機械のようにとらえていた当時に、「自由な意思を持って自由に行動する存在」とみなした、この理論は現代でも多くの方のヒントになっています。そして集団と組織の違いを上記3点にまとめました。

共通の目的をもっていること(組織目的)

・組織には必ず目的があり、それを軸にした行動・判断が必要
・目的には、協同的側面と主観的側面が存在する
 協同的側面:協働して達成すべき仕事の目的(組織人格)
 主観的側面:ひとりの人間としての働く目的(個人人格)
・人間は機械ではないため、組織目的に沿った行動や指示を受容してもらえる環境づくりが必要

バーナードは、命令や権威によって人が動いているのではなく、それらを一人一人が受け入れるからこそ、指示が浸透し、組織が成り立っていると捉えました。また人が受容する理由を、組織人格・個人人格に分けました。現代の1on1を通じた、計画のすり合わせや、個人と組織のWILLの接合は、組織目的に応じた社員の行動を促進する意味合いがあるからこそ、うまくいっているのでしょう。

※『経営者の役割』(ダイヤモンド社)より
・「目的をもつことが必要なのは自明のことであり、「体系」「調整」「協働」という言葉のなかに含意されている。目的は言葉で明示されてないことがよくあるし、ときには明示しえないこともあるが、多くの観察される協働体系でなんらかの形で明らかに存在するものである。」

お互いに協力する意思をもっていること(協働意欲)

・組織目的達成に向け、働く仲間への積極的な貢献意欲が大切
・「貢献」に見合った「誘因」の提供が肝。貢献≦誘因の程度が必要
 物質的要素:給与・賞与・役職・表彰、、、
 精神的要素:自己肯定感・自己決定感・信頼できる仲間・感謝、、、
・実際にはほんの少数の者だけが積極的意欲を持てばよい

組織目的への共感があるうえで、その実現のため、仲間と共に協働して達成することが大切です。サッカーで、お互いが有機・流動的ながらも役割を果たすチームが強い一方で、個人の活躍ばかりを追うチームが弱体化することからもイメージしやすいはずです。協働意欲づくりのためには、組織が個人に与える「誘因」が大切であり、貢献>誘因となると、個人が消耗してしまいます。

※『経営者の役割』(ダイヤモンド社)より
「協働体系に対して努力を貢献しようとする人々の意欲が不可欠なものであることは明らかである。組織に関して通常使われている語句で、個人的意欲という要因をうまくいいあてているものは多い。「忠誠心」「団結心」「団体精神」「組織力」がそのおものなものである。」

円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)

・他者との円滑な行動のためには、意思疎通が必要
・業務的な伝達だけでなく、上記の目的や協働意欲を個人にもたらす
・以心伝心的な意思疎通は、円滑であるが、時に疑問を持つ必要がある

人体で神経伝達がなければ、手足が動かなくなり、また怪我にも気づきません。各マネジメント層が、神経伝達役を果たせる組織は健全であり、その実現のために業務的リーダーシップだけでなく、人的リーダーシップが必要になります。

※『経営者の役割』(ダイヤモンド社)より
「伝達の技術は、いかなる組織にとっても重要な要素であり、多くの組織にとってはとくに重要な問題である。」

 

本質的価値・活用のメリットや注意点

本質価値

・業務とは別観点の人的リーダーシップの概念で組織を考察
・組織目的・協働意欲・情報共有3要素を切り口に、組織の健全性を見る

活用例

・50名、100名など組織の壁を超えようとする組織における幹部育成
・組織全体への、組織づくりの受身から主体者への変化づくり
・業務は優れているが、人望のない人材の育成
・人事部における、組織業態のサーベイ
・退職率改善

バーナードの組織論は古典的な理論ですが、グーグルの「Project Oxygen」を通じた良いチームづくりとも通じます。事業戦略は優れているものの、幹部が理解しない、現場の動きが悪いと思っている事業推進者の方に参考となる理論でしょう。著書内では概念論だけでなく、かなり細かく考察されており、人の自由意志が土台であるからこそ、1938年の考えであっても洗練された印象を受けるはずです。

メリット

・社の組織状態を図る切り口として、シンプルでわかりやすい
・人の自由意志を土台にしており、現代に合う
・社の共通用語になり、方針や価値観浸透の一助になる

注意事項

・3要素を紐解く項目化・体系化がされていないため、概念に留まりがち
・組織目的の達成でなく、単なる社員満足のため、と誤解される
・組織目的たる、経営計画や事業戦略・ミッションの明示が土台となる

 

バーナードの組織論の導入事例紹介

※明確に、バーナードの理論を採用している企業は分かりかねました。申し訳ございません。

 

より詳しく知りたい方

チェスター・バーナード『組織と管理』を読む

・福井県立大学・経済学部 田中求之さんがまとめた記事です
・WEB上の記事で、深くわかりやすく考察されています

 ⇒詳しく知りたい

チェスター・バーナード関連書籍

1:組織と管理

 ⇒詳しく知りたい

2:経営者の役割

 ⇒詳しく知りたい

3:バーナードの組織理論と方法

 ⇒詳しく知りたい

 

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組織活性化コラム責任者より

カテゴリ担当の大下です。このカテゴリは、当メディアのメインコンテンツであり、企業の組織活性化の事例をお伝えします。 各企業の生の取り組みを参考にしていただき、社内の活性化につなげていただければ幸いです。

執筆監修者

大下

当活動の主体者であり執筆監修者。学生時代にコーチングを勉強し、そのまま就職せずにビジネスマンや経営者を主体とした個人向けのコーチへ。「自己肯定感の回復と自己実現のためのコーチングは違う」をモットーとし、根強いファンを持つ。コーチングの中で、組織運営の責任者・主体者が、マネジメントのノウハウや知見を知らず苦労することに課題を感じ、当活動を発起し推進する。

   

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組織活性DNA
   

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